介護職が子育てと両立するための東海のシフト事情と実務ステップ
- こども家庭庁の調査ではピーク時に数万人規模だった全国の保育所待機児童数は令和5年4月時点で2,680人まで減少し、東海の郊外・郡部でも両立の土台が整いつつあります。
- 厚生労働省の雇用均等基本調査では育児短時間勤務制度がある事業所は全国で6割強とされ、東海の中規模以上の介護法人でも夜勤免除規定の整備が進んでいます。
- 東海3県の介護職有効求人倍率は僕の体感値で3倍前後と、全産業平均の体感1倍台前半より高く、時短やシフト固定の希望を交渉しやすい売り手市場になっています。
「保育園のお迎えが17時半なんですけど、うちの職場だと正直厳しいですかね」——先日、東海地方で開いた転職相談会で、30代の女性からそう聞かれました。
結論から言うと、介護職は子育てとの両立がしやすい職種の一つだと僕は考えています。理由は単純で、24時間365日稼働する現場だからこそシフトの型が多様で、日勤だけの働き方から短時間の非常勤まで選択肢が広いからです。ただし「介護職だから両立できる」のではなく、「施設種別と雇用形態を選び、事前に交渉すれば両立できる」というのが実務的な正確さだと思っています。この記事では、東海の保育事情の実態から、両立しやすい働き方の見極め方、実際につまずいたときの立て直し方、都市部と郊外の地域差まで、僕が相談の現場で見てきたことをお伝えします。
0.(結論)東海で介護職と子育てを両立させる本質
先に結論を言ってしまうと、両立の成否を分けるのは「気合い」ではなく「施設選び」「雇用形態」「事前交渉」の3点だと僕は考えています。同じ介護福祉士の資格を持っていても、夜勤専従の特養に勤めるか、日勤中心のデイサービスに勤めるかで、子育てとの両立難易度はまったく変わります。逆に言えば、この3点を押さえれば、東海のどの地域でも両立できる働き方を見つけられる可能性は高いというのが僕の体感値です。
1. 東海の介護現場のリアル:子育てとの両立障壁
まず前提として、東海地方の保育事情は改善傾向にあります。こども家庭庁の発表によると、令和5年4月時点の全国の保育所待機児童数は2,680人まで減少しており、これはピーク時(統計上は数万人規模だった時期)の10分の1以下の水準です。愛知県や岐阜県、三重県でも、名古屋市中心部などの都市部を除けば待機児童ゼロの自治体が増えてきています。つまり「預け先が見つからないから介護職を諦める」という状況は、10年前に比べればかなり緩和されているというのが実態だと僕は見ています。
一方で残る障壁は、預け先の有無よりも「保育園の開所時間と施設のシフトの噛み合わせ」です。多くの保育園は7時〜18時前後が標準保育時間で、延長保育を使っても19時が限界というケースが少なくありません。ここで、早番が7時出勤・遅番が20時終業といった介護施設のシフトとぶつかります。夜勤ができるかどうかよりも、実は「遅番の終業時刻」でつまずく方のほうが僕の相談経験では多い印象です。実際、愛知県豊田市の相談者から聞いた話では、保育園の延長保育が18時半までしか使えず、遅番が月4回入るだけで送迎の調整に毎回苦労していたそうです。この方は最終的に「遅番なし」を条件に別の特養へ転職し、送迎の悩みそのものを解消しています。
2. 施設種別・雇用形態別のシフト柔軟度比較
両立のしやすさは施設種別によってかなり差があります。僕が相談を受ける中での体感値ベースで整理すると、以下のようになります。
| 施設種別 | 夜勤の有無 | シフト柔軟度(体感) | 両立のしやすさ |
|---|---|---|---|
| デイサービス(通所介護) | 基本なし | 高い | ◎ 日勤のみで完結しやすい |
| 訪問介護 | ほぼなし | 非常に高い | ◎ 訪問時間を自分で組みやすい |
| 特養・老健(日勤中心の求人) | 選べば回避可 | 中〜高 | ○ 夜勤免除規定の確認が前提 |
| 有料老人ホーム | あり(施設による) | 中 | △ 夜勤専従との併用が多く要交渉 |
| グループホーム | あり(少人数体制) | 低〜中 | △ 職員配置が薄く休みが取りにくい傾向 |
この表はあくまで僕の体感値による傾向であり、同じ施設種別でも法人の方針次第で条件は大きく変わります。特に近年は特養や有料老人ホームでも「育児中スタッフは日勤固定」という運用をする法人が東海でも増えてきているので、求人票の夜勤条件だけで判断せず、面接で確認することが大切です。なお訪問介護は柔軟度が高い一方、直行直帰の移動時間や利用者宅の変更対応が発生するため、時間の自由度と業務の細かさはトレードオフになる点も知っておくといいと思います。グループホームは定員9人程度の少人数ユニットが基本で、職員1人あたりの受け持ちが手薄になりやすく、急な欠勤があると同僚への負担が跳ね返りやすい点も、両立を検討するうえで見落としがちな注意点です。
3. 両立を叶える実務ステップ
ここからは、今日から動ける具体的な手順を、所要目安の時間つきでお伝えします。
- 【所要目安1日】保育園の預け入れ可能時間(開所〜延長保育の終了時刻)を先に確定させる。ここが両立設計の土台になります。
- 【所要目安1週間】面接では希望シフトを遠慮せず伝える。「日勤のみ希望」「17時半までに退勤したい」を曖昧にせず、初回面接で開示するほうが後々のミスマッチを防げます。ここでよくある失敗は、遠慮して「できるだけ配慮してもらえたら」とぼかしてしまうことです。曖昧な希望は入社後に反映されないことが多く、僕の相談経験でも「言ったつもりだったのに伝わっていなかった」というトラブルの大半はこの段階で発生しています。
- 【所要目安内定後すぐ】雇用契約書または就業規則で夜勤免除・時短勤務の規定を書面で確認する。口頭の約束だけで進めると、繁忙期に「今回だけお願い」が常態化するリスクがあります。
- 【所要目安1か月】病児保育やファミリーサポート事業への登録を済ませておく。子どもの発熱は復帰直後の数か月に集中しやすく、あらかじめバックアップ先を確保しておくと、当日の欠勤連絡そのものへの心理的負担がかなり軽くなります。
- 【所要目安復帰後3か月】無理をしない前提でシフトを組んでもらう。急な欠勤が続いても「最初の数か月は想定内」と職場に伝えておくと、周囲の受け止め方も変わってきます。
4. つまずいたときの立て直し方:2つのケース比較
ここで、複数の相談者から伺った話を組み合わせた例を2つご紹介します。1つ目は、ある特養に勤めていた方のケースです。育休復帰時に「日勤中心でお願いします」と口頭で伝えたものの、人手不足を理由に月2回ほど遅番に入るシフトが組まれてしまい、保育園のお迎えに間に合わない日が続いたそうです。この方が取った対処は、上長に「契約時の合意内容」を書面で示しながら、遅番の代わりに早番の回数を増やす形での再調整を依頼することでした。結果として、法人側も別のパート職員との組み合わせでシフトを再設計し、3週間ほどで解消したとのことです。
2つ目は、逆に交渉がうまくいかなかったケースです。ある有料老人ホームで働いていた方は、口頭でのみ「夜勤は無理です」と伝えていたため、契約書にも就業規則にもその記載がなく、繁忙期に「今回だけ」と夜勤を頼まれる状況が続きました。断りづらい雰囲気の中で数ヶ月ずるずると夜勤に入り続けた末、体調を崩して結局退職に至っています。この方の反省点は、面接時の口約束を書面に残さなかったことでした。この2つの比較から僕が学んだのは、両立のトラブルは「感情論」ではなく「事実(契約内容)に基づいて」交渉したほうが解決が早く、かつ書面に残すことが自分自身を守る手段になるということです。感覚的に「無理です」と伝えるより、「入社時にこう合意しています」と示すほうが、現場の管理者も動きやすくなります。
5. 使える制度と手当の実態
厚生労働省の雇用均等基本調査によると、育児短時間勤務制度がある事業所は全国で6割強とされています。介護業界でもこの流れは同様で、東海の中規模以上の法人では制度自体は整備されているケースが多いというのが僕の体感値です。ただし「制度はあるが実際に使っている人が少ない」という職場もあるため、面接時に「実際に育児短時間勤務を使っている職員がいるか」を具体的に聞くことをおすすめします。
収入面では、たとえば月給20万円・1日8時間勤務の方が6時間の時短勤務に切り替えると、基本給部分は単純計算で15万円程度まで下がります。ただし処遇改善加算は時短勤務でも按分支給される法人が多く、加算分を含めると17万円前後に落ち着くケースが僕の体感では多い印象です。夜勤手当や早遅番の手当は当然減るため、両立期間中の世帯収入は一時的に下がる前提で家計を組んでおくと現実的だと思います。加えて、法人によっては企業主導型保育事業と提携していたり、病児保育の利用料を一部補助してくれる制度を持つところもあるので、福利厚生の項目まで求人票を確認する価値はあります。東海3県の介護職有効求人倍率は僕の体感値で3倍前後の水準が続いており、これは全産業平均の体感1倍台前半と比べても高く、裏を返せば「時短やシフト固定を希望条件として交渉できる立場にある」ということでもあります。
6. 地域差:名古屋都市部と郊外・郡部の違い
東海地方の中でも、両立のしやすさには地域差があります。名古屋市中心部は保育園の選択肢自体は多いものの、人気園への入所競争があり、希望する開所時間・延長保育の条件で選ぼうとすると倍率が上がる傾向があります。一方で岐阜県各務原市や三重県四日市市のような郊外・郡部の相談者からは、待機児童はほぼなく入所自体には困らなかったものの、延長保育や病児保育に対応する園が少なく、車での送迎時間が長くなる分、遅番との両立が難しいという声を複数聞きました。この2つの傾向を組み合わせて考えると、都市部は「入りやすい園を選べるか」、郊外・郡部は「延長時間と送迎時間の合計がシフトに収まるか」が実務上の分かれ目になっていると僕は感じています。転職先を検討する際は、勤務地の候補が決まった時点で、その地域の保育園の開所時間帯を先に調べておくと、後から施設選びの条件を絞り込みやすくなります。
(結論)
介護職と子育ての両立は、精神論ではなく「施設種別」「雇用形態」「事前交渉」という3つの実務ポイントで組み立てるものだと僕は考えています。東海の保育事情は年々改善しており、有効求人倍率の高さもあって、両立条件を交渉できる環境は整いつつあります。まずは保育園の預け入れ時間を確定させ、面接で希望を書面に残る形で伝えるところから始めてみてください。皆さんいかがでしたでしょうか。では今日もがんばりましょう。
よくある質問
Q. 介護職は子育てをしながら夜勤なしで働けますか?
結論から言うと、施設種別と雇用形態を選べば夜勤なしでの就業は十分に可能です。デイサービスや訪問介護、外来のある老健の日勤帯は夜勤自体が発生しません。特養や有料老人ホームでも、育児中の職員に対して夜勤免除規定を設けている法人が東海でも増えており、面接時に希望を伝えれば調整してもらえるケースが体感として多いです。ただし夜勤手当がなくなる分、月の手取りは下がる点は事前に理解しておく必要があります。
Q. 介護職を時短勤務にすると収入はどれくらい減りますか?
結論としては、勤務時間の短縮割合にほぼ比例して基本給が下がると考えておくのが実務的です。たとえば1日8時間を6時間に短縮すれば、単純計算で基本給は4分の3程度になります。一方で処遇改善加算は時短勤務でも按分で支給される法人が多く、加算部分まで丸ごと失うわけではありません。復帰直後は収入より両立できる体制を優先し、子どもの成長に合わせて勤務時間を戻していく法人を選ぶと、中期的には無理のないキャリアになります。
Q. 保育園が決まる前に介護職の転職活動を始めても大丈夫ですか?
結論としては、むしろ保育園が確定する前から動き始めるほうが東海では現実的です。理由は、内定後に入所可能日が決まってから就業開始日を調整してくれる法人が一定数あり、逆に保育園が先に決まってから探すと就業開始日の制約で選択肢が狭まるためです。面接では正直に保育園の状況を伝えたうえで、開始時期に幅を持たせられるかを確認するのが実務的な進め方だと僕は考えています。
IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。